日本火山学会普及啓発賞 (Distinguished Public Awareness Award)
第07号 山梨県富士山科学研究所
受賞対象
「富士山をはじめとした火山防災に関する国内外への教育普及啓発活動」
授賞理由
山梨県富士山科学研究所は、前身の山梨県環境科学研究所からの改組を経て、2014 年に富士山を重点的に研究する機関として整備された。広く関係機関と連携して活火山である富士山の火山学的な研究や自然環境に関する研究を行うとともに、火山防災対策への助言・協力のほか研究成果の発信や一般市民に対する教育普及・啓発活動に力を入れてきた。所内で実施する普及活動や出前講座だけでなく、県教育委員会と連携した学校における火山領域の教育課程や指導プログラムの作成、教員の研修や派遣受け入れなど、全国の見本となり得る事業を積極的に行っている。こういった活動は国内にとどまらず、JICA 草の根技術協力事業などにおいて、主にインドネシアの活火山地域においても教育普及プログラムを実践している。また、定期的に国際シンポジウムも開催し、日本の火山防災・教育普及・啓発活動を国内外に広くアピールするとともに、諸外国の成果を国内に取り入れる窓口としての役割も果たしており、火山学コミュニティーへの貢献も顕著である。このように、山梨県富士山科学研究所の取り組みは、研究活動と教育普及・啓発活動を上手に融合させ、その成果を地元のみならず、広く国内外の活火山地域にも還元するモデルケースと言えるであろう。
以上の理由から,山梨県富士山科学研究所を2025年度日本火山学会普及啓発賞にふさわしいと認めた。