日本火山学会研究奨励賞 (Young Scientist Award)
第01号 菅原 透
研究課題
「マグマの熱力学」
選考理由
菅原 透氏は、それまで定性的に扱われていた相平衡・元素分配関係を、新たに開発した手法による実験・解析結果に基づいて定量的な熱力学的モデルに定式化することに成功し、多くの論文を国際誌に発表するなど、火山学を精密科学として体系化する上で基礎科学的な貢献をおこなってきた。マグマは複雑な組成・構造を持つためその熱力学的取扱いは難解であるか、菅原氏は本研究に関する文献やMELTSプログラムの紹介・評価、自作の熱力学プログラムの公開をホームページ上で行い、その成果の普及にも努めている。このように、菅原氏は研究課題について国際的な成果を上げてきており、今後もマグマの熱力学という面から火山学の発展に大きく貢献するものと期待され、日本火山学会研究受励賞を受賞するに値すると判断される。
主要な研究業績
- Sugawara, T. and Akaogi, M. (2003) Calorimetric measurements of fusion enthalpies for Ni2SiO4 and Co2SiO4 olivines and application to olivine-liquid partitioning. Geochim. Cosmochim. Acta, 67(14), 2683-2693. doi: 10.1016/S0016-7037(03)00202-3.
- Sugawara, T. (2001) Ferric iron partitioning between plagioclase and silicate liquid: thermodynamics and petrological applications. Contrib. Mineral. Petrol., 141, 659-686. doi: 10.1007/s004100100267.
- Sugawara, T. (2000) Empirical relationships between temperature, pressure, and MgO content in olivine and pyroxene saturated liquid. J. Geophys. Res., 105(B4), 8457-8472. doi: 10.1029/2000JB900010.