日本火山学会研究奨励賞 (Young Scientist Award)
第18号 福島 洋
研究課題
「InSARを用いた火山変動検出と数値モデリングによるマグマ移動メカニズムの研究」
選考理由
地下のマグマの挙動を理解するためには、高精度・高密度な地殻変動データの蓄積と現実的な物理過程の情報を抽出するための高度な解析が必要である。福島洋氏は、人工衛星搭載開口レーダー干渉法(InSAR)を用いて、火山噴火等に伴う地殻変動の検出手法およびそれに基づく力源モデルの解析を行い、顕著な成果を挙げている。特に、フルネーズ火山では、InSARによる空間的に高密度な地殻変動データを解析するために、力源の三次元的形状を客観的に推定する手法を開発し、噴火に伴うマグマの貫入過程を明らかにした。福島氏の、地殻変動検出技術の向上と定量的な物理過程の評価に関する研究は、火山噴火予知研究の進展にも大きな貢献が期待され、2011年日本火山学会研究奨励賞に相応しいと判断される。
主要な研究業績
- Fukushima, Y., Cayol, V., Durand, P., and Massonnet, D. (2010) Evolution of magma conduits during the 1998–2000 eruptions of Piton de la Fournaise volcano, Réunion Island. J. Geophys. Res., 115(B10), B10204. doi: 10.1029/2009JB007023.
- Fukushima, Y., Mori, J., Hashimoto, M., and Kano, Y. (2009) Subsidence associated with the LUSI mud eruption, East Java, investigated by SAR interferometry. Mar. Petrol. Geol., 26(9), 1740-1750. doi: 10.1016/j.marpetgeo.2009.02.001.
- Fukushima, Y., Cayol, V., and Durand, P. (2005) Finding realistic dike models from interferometric synthetic aperture radar data: The February 2000 eruption at Piton de la Fournaise. J. Geophys. Res., 110(B3), B03206. doi: 10.1029/2004JB003268.