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日本火山学会研究奨励賞 (Young Scientist Award)

第23号 柵山徹也

研究課題

「背弧~超背弧域火成活動の成因に関する岩石学的・地球化学的研究」

選考理由

 柵山徹也氏は、ユーラシア大陸東縁部の背弧・超背弧域に分布するアルカリ玄武岩火山の成因を岩石学的・地球化学的手法を用いて精力的に行ってきた。近年、地震波トモグラフィ技術の発展により、日本海、朝鮮半島および中国東部下のマントルの地震波速度構造が高分解能で明らかにされ、同地域に噴出する第四紀火山を始めとする比較的若い火山の成因も、沈み込んだプレートおよび上部下部マントル境界に停滞するスタグナントスラブから何かしらの影響を受けているのではないかと考えられるようになってきた。その物質科学的証拠を火山岩から抽出しようとする研究の多くは、放射性同位体元素や微量元素組成のみの限られた手法に偏っており、岩石学的な制約(融解条件や融解過程の推定など)を与える研究例はまだ限られている。同氏は、全岩主成分元素、微量元素、放射性同位体、斑晶鉱物化学組成などの岩石学的・地球化学的情報を網羅的に収集し、そのデータセットを最もよく説明しうるマントル融解・マグマ分化モデルを各研究対象地域で構築した。その結果、いずれの地域においても火山の成因と沈み込んだプレートとは密接に関連していることを現時点で最も的確に証明している。
 火成岩岩石学・地球化学的手法がテクトニクスやマントル進化の議論において極めて重要な役割を果たしていることは周知の事実であるが、高度に専門化してきたために、その手法に精通した若手研究者は少なくなっているのが現状である。柵山氏は、地質調査による溶岩層序の確立、K-Ar 年代測定、岩石学および地球化学的手法を用いた火山岩成因論の確立まで幅広い研究経験・能力を有し、かつそれらの成果を手際よくまとめ、一流の国際誌に4本の論文を発表している。以上から、柵山徹也氏を日本火山学会研究奨励賞に相応しいと判断する。

主要な研究業績


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