日本火山学会研究奨励賞 (Young Scientist Award)

第31号　廣瀬　郁

受賞対象

「地震波干渉法に基づく国内50火山のリアルタイムモニタリングシステムの開発と運用」

授賞理由

　廣瀬氏が開発してきた、地震波干渉法に基づく火山の浅部構造の時空間変化を評価する各種の手法は、火山活動評価に大いなる貢献であると共に、学術的な将来の発展も期待できる。特に、雑微動のみを用いた構造解析手法によって活動的な火山だけでなく、顕著な地震活動がない火山の構造を系統的に比較することが可能となった。そして、開発した手法を国内の火山観測網の地震計データに適用し、浅部速度構造や散乱特性の変化をリアルタイムで把握するための処理システムを構築した事は国内の火山活動モニタの精度向上への貢献が期待される。
　以上の理由から、地震波干渉法に基づく火山活動評価や火山噴火予測などに関する優れた論文を発表し、その成果を実際の火山モニタに活用しており、将来も火山学の発展への貢献が期待されることから、廣瀬氏を2023年度日本火山学会研究奨励賞授賞者とする。