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日本火山学会研究奨励賞 (Young Scientist Award)

第36号 新谷直己

受賞対象

「火山噴出物の化学分析に基づく噴火開始メカニズムの解明」

授賞理由

 新谷氏は、火山噴火の準備過程である地下のマグマ溜まりへのマグマの供給・混合と、それに引き続くマグマの上昇、および最終的な噴火のトリガーに至るまでのマグマ過程を、岩石学的手法を用いて明らかにする研究を行なってきた。特にメルト包有物中の揮発性成分や斑晶の累帯構造などの詳細な微小領域化学分析によって、大規模な軽石噴火の前には地下浅部の火道内に大量のマグマが上昇し一時的に滞留するという「プレチャージ」という概念を提唱した。また、噴火に先立つマグマ過程の時系列を整理して、浅所マグマ溜まりへの高温マグマ注入は数年以上、プレチャージは噴火の数ヶ月前、火道内での増圧から噴火開始は数時間という時間スケールを明らかにした。これら一連の成果は、大規模噴火の予測に向けた重要な発見であり、今後は地球物理学的観測と対応づけることにより、噴火準備過程の理解に大きく貢献することが期待される。また、東北大学では変動地球共生学卓越大学院プログラムの専任教員として人材育成に貢献してきたほか、バイロイト大学やオレゴン州立大学との国際共同研究も展開している。
 以上の理由から、新谷氏を2025年度日本火山学会研究奨励賞にふさわしいと認めた。

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